SmokeOut
0%
藁人形論法(Straw Man・ストローマン論法)
論理(誤謬・飛躍)

藁人形論法(Straw Man・ストローマン論法)

相手の主張をわざと歪め、極端で弱いバージョンを作ってから批判する論法。

📖 詳細解説

「環境問題について考える必要がある」と言っただけの政治家が、翌日のニュースでは「環境規制に猛反対!」——こんな見出し、見たことありませんか?

これが藁人形論法の恐ろしさです。

藁人形論法は、相手の発言や立場を正しく伝えず、わざと弱い形にすり替えて叩くというズルい手法です。読者は「実際には言っていない主張」を信じ込み、炎上や誤解が拡大します。

なぜ「藁人形」と呼ばれるのか?

実際の相手ではなく、叩きやすい「藁でできた人形」を作って攻撃する様子から名付けられました。本物より弱くて、簡単に倒せる相手を作り上げるわけです。

使用例(記事引用風)

よくあるパターン:

🗣️ 実際の発言: 「AI技術にはリスクもあるので、慎重に進めるべき」
📰 記事の見出し: 「○○教授がAI開発を完全否定!『危険すぎる』と警告」
💬 SNSの反応: 「時代遅れすぎる」「技術の進歩を妨害するな」

→ 元の発言の「慎重に」が消えて「完全否定」にすり替わっています

その他の典型例:

  • 発言:「一部に課題はある」
  • 記事:「○○が全面否定!」

この飛躍が「藁人形」を生み出し、ニュースの信頼性を損ないます。

あなたも被害者になるかも?

この手法、決して政治家や有名人だけの問題ではありません。 会議で「もう少し検討時間が欲しい」と言っただけなのに「○○さんが計画に反対している」と伝わった経験、ありませんか?

リスク・影響

  • 読者を誤解させ、炎上を助長する
  • 当事者は「言ってないことで叩かれる」理不尽な立場に追い込まれる
  • 議論そのものがすり替えられ、建設的な対話が妨げられる

国際基準との関連

UNESCOやIFJなどの報道倫理規範では、「正確性(Accuracy)」 が最重視されています。藁人形論法は、相手の主張を歪めることでこの原則を真っ向から侵害します。

改善例(リライト案)

  • ❌ 「○○が全面否定!」
  • ✅ 「○○が"一部には課題がある"と指摘」
  • ❌ 「AI開発を完全否定!」
  • ✅ 「AI技術の慎重な進め方を提案」

藁人形論法を見抜く3つのポイント

  1. 「完全に」「全面的に」などの極端な表現
  2. 元発言との温度差が激しい見出し
  3. 文脈や条件が削ぎ落とされた引用

メディアが藁人形を作ったら、私たちはそれを燃やさない。
これが、健全な議論を守る第一歩です。

この技法について学んだことをシェアしましょう

🔗 関連する技法

因果のすり替え(Causal Substitution)

実際に存在する因果関係を隠して、記事が用意した「別の理由」に置き換えてしまう書き方。 たとえば「契約期間が満了したから移籍」という事実があるのに、「事務所と対立したから移籍」みたいに、全然違う理由にすり替えちゃうパターン。

詳細を見る → 論理(誤謬・飛躍)

逆因果(Reverse Causation)

向きが逆です。本当は B → A なのに、A → B と読ませます。

詳細を見る → 論理(誤謬・飛躍)

擬似因果(Pseudo-Causation / 相関因果混同)

一緒に動いた(相関)だけで、原因と結果(因果)に見せる書き方です。

詳細を見る → 論理(誤謬・飛躍)

論理の飛躍(Non Sequitur / Jump in Logic)

結論にたどり着くための橋(前提・比べ方・証拠)が抜けたまま、話が一段飛んで着地している状態です。

詳細を見る → 論理(誤謬・飛躍)

因果の飛躍(Causal Leap)

「AがあったからBになった」と言い切るのに、順番(時系列)、つながりの道筋(しくみ)、他の理由(第三要因)、もしAが無かったら?(反事実)のどれかが欠けている状態です。

詳細を見る → 論理(誤謬・飛躍)

レッドヘリング(Red Herring/燻製ニシンの虚偽)

本題への質問から話題を横にずらし、別テーマ(人柄・私生活・空気・美談・ファッション等)に切り替えて答えたように見せる手法です。 検証や説明が必要な点から、読者の注意を外します。

詳細を見る → 論理(誤謬・飛躍)