10月24日、WEST.神山智洋さんの結婚発表から、記事は同じグループの中間淳太さんや他グループの“黄色担当”メンバーの名前を一気に並べていました。
「この“黄色メンバー”には、なにかしらの不祥事やスキャンダルが多い、と話題になっています」
「こうして並べると、確かに“黄色=恋愛・スキャンダルが多い”という印象は拭えません。偶然の一致ではあるものの、“呪い”と言われても仕方がないのかもしれないですね……」(スポーツ紙記者)
さらにSNSの声として:
《別事務所ですがJO1大平も黄色です》
《ガチでヤバいね…》
《黄色の呪い強すぎて草》
こうした断片が積み重なると、読者の頭の中で「色」と「出来事」の間に因果っぽさが生まれます。
ですが、実際に起きているのは因果ではなく配置(並べ方)です。
🧩 並べるだけで“確からしく”見えるトリック
記事は、性質の違う出来事を同じ棚に入れて量で押しています。
「Aぇ!groupの草間リチャード敬太。草間もグループ内での『黄色担当』だが、公然わいせつ罪の疑いで身柄を拘束…」
「元V6の岡田准一さん、嵐の二宮和也さん、Hey! Say! JUMPの八乙女光さんはすでに結婚しており…」
法的問題・交際報道・結婚を同列に並べ、「黄色」の箱に入れて見せる構成です。
しかし、列挙の量は因果の証拠ではありません。母数(“黄色”は全体で何人?)や期間(いつからいつまで拾った?)が示されないまま、「名前が多い=関係がある」に見せるのは擬似相関です。
ここで必要なのは、検証済み情報と推測の線引き。
国際的にも「検証済みの情報と推測を明確に区別する」ことが求められています(UNESCO “Journalism, ‘Fake News’ & Disinformation”)。
また、他媒体を根拠にし合う循環報道は避けるべきとされています(AP News Values and Principles)。
🗣️ 結婚を“スキャンダル箱”に入れない
「…岡田准一さん、二宮和也さん、八乙女光さんはすでに結婚しており、ファンの中には当時ショックを受けた人もいたようです。」
結婚は人生の節目であって、不祥事でもスキャンダルでもありません。
これを「ショック」枠に入れて「黄色は問題が多い」の材料にしてしまうと、ファンの所有欲を煽る構造を助長します。
ニュースは“感情を動かすため”ではなく、“事実を伝えるため”にあるはずです。
⚙️ SNS断片は“裏取り”にはならない
《黄色の呪い強すぎ》
のようなツイートを並べれば“盛り上がっている”印象を作れます。
でも、それは拡散の証明ではなく、印象の演出です。
SNSの断片は裏取りの代わりになりません。
🧠 言葉の選び方——「呪い」は強すぎる
「人気事務所がゆえ、“メンカラの連鎖”という都市伝説的な視点からも、注目を集めることとなった。」
“呪い”という語は、色=人格・行動という短絡回路を作り、無関係な人々へも連想被害を広げます。
できごとは個別の事実で語る。
色やジンクスで括らない。
——それだけで、報道も読者もフェアになれます。
🌱 まとめ:「色で括る記事」を見たら、3秒立ち止まろう
✓ これ、何人中の何人?
✓ 性質の違う出来事を混ぜてない?
✓ 「みんな言ってる」の根拠は?
この3つを問うだけで、“呪い”は霧のように消えます。
メンバーカラーは、推しを楽しむための文化。
でも、それを“ジンクス”や“運命”に変えてしまうのは報道の仕事ではありません。
名前の向こうには、それぞれの人生があります。
私たちは、誰かを色で裁かない選択ができます。
そしてメディアにも、同じ丁寧さを求めていいはずです。