見出しからすでに温度差
記事①
小栗旬、“韓国美人女優”との「イチャイチャ密着ショット」にファン動揺…蒸し返される山田優と石原さとみの“共演NG説”
「小栗旬、“韓国美人女優”との『イチャイチャ密着ショット』にファン動揺…蒸し返される山田優と石原さとみの“共演NG説”」
→ 「韓国美人」「イチャイチャ」「蒸し返し」。記事冒頭からフルスロットルです。
本文でも「互いを見つめ合って微笑む」「顔を近づけてひそひそ話」などを強調し、最後は「山田優と石原さとみの“共演NG説”」にまで接続。距離感→家庭不安→過去スキャンダルの直列配線で煽っています。
SmokeOutによる分析記事はこちら👇
記事②
小栗旬、Netflixドラマ共演のハン・ヒョジュとの“距離が近すぎる”と心配の声 見つめ合ったりハートを作ったりイチャイチャ
「小栗旬、Netflixドラマ共演のハン・ヒョジュとの“距離が近すぎる”と心配の声 見つめ合ったりハートを作ったりイチャイチャ」
→ 「距離が近すぎる」「心配の声」といった表現は残るものの、本文では BHエンターテインメントの公式Instagram による「オフショット公開」や、「文化の違いもあるのでしょうが、韓国の俳優は日本の俳優に比べて距離感が近い」とする解説が添えられています。
公式ソースと文化背景の説明がある分、①よりは抑制が効いていると思います。
SmokeOutによる分析記事はこちら👇
論理の飛躍はどこに
どちらの記事もそれぞれ分析した通り、問題ありな記事です。が、比較してみると少し違いが浮かび上がってきます。
記事①の飛躍(直列接続型)
「小栗旬とハン・ヒョジュがイチャイチャ」
「また小栗奥様から共演NG出そうよね…」
イベントでの近さ
→ 奥さんが心配では?
→ 過去の“共演NG説”を蒸し返し
→ だから今回も危うい
【問題点】
- 時系列を直列につなげただけで因果を作る。
- 非公式な噂を現在に輸入し、SPJ Code of Ethics の「Provide Context」に違反。
- 読者の「心配」を記事が代弁し、感情を増幅しています。
記事②の飛躍(ワンクッション型)
「《小栗社長の韓国語かわいい…》《ヒョジュちゃんに聞いてるところと慣れてない指ハートサランへかわいすぎ》」
イベントの近さ
→ 奥さんが心配では?
→ 過去の“共演NG説”を参照
+ 「韓国の俳優は距離感が近い」との文化解説
+ 公式SNSで「制作サイドが話題性を狙った可能性」に言及
→ それでも最終的には「奥さんは複雑では?」へ回収
【評価点】
- 「ケミ文化」「公式発信」というクッションで構成リスクは緩和。
- ただし結論は「家庭不安」に落とし込むため、UNESCO – Journalism, ‘Fake News’ & Disinformation が警告する「誤導的関連付け」を回避しきれていません。
文化背景をどう伝えるか
記事②には、記事①にはなかったこの一文があります。
「韓国の俳優は、日本の俳優に比べて距離感が近いとはよく指摘されます。…組み合わせは“ケミ”と呼び、関係性を楽しむファンも多いです。」
この文化背景を添えるだけで、“距離が近い=危険信号” ではなく “文化的演出” として理解できる余地が生まれます。
Ethical Journalism Network – 5 Principles の「公平・誠実」に一歩寄った態度です。
スコアで透明に示す
- 記事①
構成リスク:3/3(蒸し返し+直列接続)
論理リスク:3/3(因果飛躍)
- 記事②
構成リスク:2/3(文化補足・公式引用で緩和)
論理リスク:2/3(飛躍は残存)
煙濃度(炎上指数)
- 記事①:72%
- 記事②:67%
差の理由:記事②は「ケミ文化」と「公式SNS」という文脈補強を加えたことで、①ほど直線的な飛躍にならず、煙がやや薄まりました。詳細は各記事の分析記事で解説しています。
まとめ:距離はPR、距離感は文化
舞台上の「近さ」はPRの演出であり、韓国エンタメ特有の「ケミ文化」の一部。
それを「夫婦不安」に直結させるのは記事の作劇です。
記事①と②はどちらも「距離感→家庭不安」という飛躍をしているものの、記事②は文化背景と公式ソースをクッションにしている分だけ“煙の濃さ”が下がりました。
どちらにせよ読者としては、「小栗旬とハン・ヒョジュがどんな恋愛模様を演じるのか」に注目すべきであって、「家庭不安」の台本を記事に書かせる必要はないはずです。
— SmokeOut(憶測の“書き方”を、読み方でほどく)
#メディアリテラシー