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"救世主"って本当に必要?『ロイヤルファミリー』報道が目黒蓮さんに背負わせた責任

"救世主"って本当に必要?『ロイヤルファミリー』報道が目黒蓮さんに背負わせた責任

🎬 “救世主”は最初からいなかった?——目黒蓮さんに責任を背負わせすぎな記事構成

記事はこう書きます。

「競馬に興味がなくて離脱」「視聴率が下がった」「目黒蓮が救世主になれるか」。

──そんな三段構えで、“不安の物語”を作り上げていました。

でも、少し立ち止まってみると、構成そのものに小さな違和感が見えてきます。

それは「作品の性質」と「俳優への責任」を混ぜて語っているということです。

「競馬に興味がなくて離脱」の声も…“救世主”目黒蓮は視聴率ダウン『ロイヤルファミリー』を救えるか


🌧️ “数字”と“救世主”の物語化

もともと『ロイヤルファミリー』は、競馬というニッチな世界を正面から描くドラマです。

原文もこう伝えています。

「『ザ・ロイヤルファミリー』は“見る人を選ぶ作品”。競馬が題材なだけにそこは相当しっかりと描かれている」

つまり、制作陣も「万人受けしないテーマ」であることを理解していたはず。

視聴率の波があるのは自然なことです。

それなのに、記事は「『ロイヤルファミリー』を救えるか」「救世主になってほしい」と続きます。

まるでドラマの外で、もう一つのドラマを作っているようです。

“Visual presentation and headlines shall not mislead the public.”

UNESCO: Journalism, ‘Fake News’ & Disinformation (2018)


🪞 「離脱の声」って、誰の声?

記事にはこんなSNS投稿が並びます。

《ロイヤルファミリーは競馬に興味がなくて離脱…》

《特に面白いとも思えないこの絶妙な駄目な感じなんなんだろう》

《母は競馬がわからなすぎて離脱したとのことだが、精通している勢も離脱していきそう》

でも、これが何件の投稿なのか、どの層の意見なのかは書かれていません。

“数人のつぶやき”が“世論”のように広げられてしまう。

SmokeOutでは、これを 「部分の全体化(Representativeness Bias)」 と呼びます。

Provide context. Take care not to misrepresent or oversimplify.

SPJ Code of Ethics


🎯 俳優に“起爆剤”を求める短絡

記事の中で繰り返されるのは、こんな言葉です。

「目黒さんの登場が起爆剤となって同ドラマに再度注目が集まり、視聴率が上がる——後半戦の“救世主”になってほしい」

「救世主」「テコ入れ」「起爆剤」……。

こうした言葉が並ぶと、作品全体の努力がすっぽり抜け落ちてしまいます。

脚本も、演出も、撮影も、編集も。

すべてチームで作るのがドラマなのに、数字の上下だけで「目黒蓮が救うか」と構成するのは、あまりにも乱暴です。

この論調は、結果次第で、彼だけが“敗戦の責任者”扱いになってしまう——。

それこそが、「Attribution Bias(帰属の偏り)」 です。


🐎 そもそも“競馬が主役”の物語

記事にもこう書かれています。

「『ザ・ロイヤルファミリー』はJRAが全面バックアップし、馬主、調教師、騎手なども協力して実際の競馬場で撮影が行なわれる」

そう、このドラマの主役は“馬と人”です。

最初から競馬がテーマなのに、「競馬に興味がない人が離脱」と言われても、

それは“テーマに合わなかっただけ”の、自然な反応です。

テーマに刺さる人が深く楽しめば、それでいいという挑戦的な向きもできるのでは?

すべての人にウケなくても、作品として成立しているのです。


💬 SmokeOutまとめ

この記事の本当の課題は、「誰に何を背負わせているか」。

  • “数字の波”を“人気低下”に見せる構成
  • “数人の声”を“世論”として引用
  • “チームの作品”を“個人の責任”にすり替え

こうした構造が重なって、“目黒蓮=救世主”というドラマの外の“もう一つの物語”を作ってしまったのです。

でも本来、『ロイヤルファミリー』は、“救世主”ではなく、“継承”の物語。


🌱 結び

視聴率の波で作品を測らない。

不安や責任を誰か1人に預けない。

“救世主”じゃなく、“リレーの走者の1人”としてのSnow Man目黒蓮さんを、静かに見届けたいです。


🔖 透明性ボックス

  • 本稿は構成・表現の分析であり、作品や俳優の評価を目的としません。
  • 引用は出典を明示したうえで、公平な範囲で再掲しています。

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