SmokeOut
アイドル
更新: 2025/10/4

ハンドル捌きより記事構成が荒い?――道枝駿佑さん初ドライブ報道

ハンドル捌きより記事構成が荒い?――道枝駿佑さん初ドライブ報道

なにわ男子・道枝駿佑さんが「よにのちゃんねる」で初めて運転姿を公開。

記事タイトルはこうでした。

『絶対彼女おるやん』道枝駿佑が“初めてのドライブ”公開で疑われた女性の影、3000万閲覧された車中の出来事

SNSの一文をそのまま掲げた見出し。これが、恋の真偽ではなく“燃え方”を加速させました。


何が起きたか

記事本文にはこう書かれています。

《絶対女おるやん》とコメントすると、1日も経たないうちに3000万以上の表示と大きく拡散されたのだ。

確かにインパクトのある数字。しかし同じ本文には、こんな温かい声もありました。

《よにの緩すぎてたまに忘れるけど大先輩2人をなんなら憧れの先輩を乗せてYouTube初運転のみっちー普通に凄すぎる》

ポジティブな反応は流し読み、疑惑は見出し格上げ――。この“広げ方”が問題なのです。


断定1語が“恋人”を作る

冒頭の「『絶対彼女おるやん』」というフレーズ。記事はこれを見出しの主語に据えました。読者は事実よりも「確定演出」として受け止めてしまう。

本来必要なのは「どの投稿がどのくらい拡散したか」の説明。断定を装飾に使わず、出所と範囲を添えること。

それが SPJ Code of Ethics が説く「Accuracy(正確性)」の基本です。


「その一方で…」が生む疑惑ドラマ

本文にはこうあります。

「その一方で……。」

■遠出ドライブは女性の影響? ファンの推察合戦

前段で温かいコメントを紹介した直後に、この小見出し。ポジティブからネガティブへ一気に転調させ、疑惑ドラマを演出します。

順序のバイアス+強調見出し。この構成は Council of Europe Resolution 1003 が注意するセンセーショナリズムの典型です。


横浜=デート? 論理、そこ飛びます

記事はこう記しています。

「多忙な道枝が所属事務所の送迎車に乗るのではなく、自身で週3〜4日も運転していることや、“横浜”“ふ頭”といったデートスポットを連想させる場所を挙げたことから、女性の影が見え隠れする……とリプライ欄で議論が勃発。」

「横浜」「ふ頭」→「デート連想」→「彼女疑惑」。これはnon sequitur(飛躍)そのもの。

車好き、先輩の影響、気分転換――別解はいくらでもあったはず。結論を一足飛びに決めないのが、Ethical Journalism Network の5原則 に沿った書き方です。


疑問符は“匂わせ”の増幅器

小見出しにはこうありました。

「女性の影?」

疑問符つきのタイトルは、断定を避けつつ“不安の香り”だけ残すレトリックです。便利ですが、濫用すると「事実」より「印象」が先行します。

ここでも Resolution 1003 が警告する「ドラマ化の誘惑」に当たります。


ここが読みたい:ドライブ事情の“中身”

実際に盛り上がったのは、《絶対女おるやん》の一文。

でも本来注目すべきは、若手が初ドライブで大先輩を乗せた挑戦や、車好きとしての素顔、週3〜4回の運転頻度に隠れたストーリー。恋バナよりも人となりのほうが、よほど記事の価値になったはずです。


リライト選手権:記事が本気で“伝える”なら

  • 元:「『絶対彼女おるやん』道枝駿佑が“初めてのドライブ”公開で疑われた女性の影、3000万閲覧された車中の出来事」

    1. 道枝駿佑さん、初めての運転を公開 先輩と笑顔のドライブ時間

       → 事実+ポジティブ要素だけ。恋愛も炎上もゼロ。

    2. 道枝駿佑さん、横浜やふ頭まで安全運転 “車好き”な一面を語る

       → 記者が「安全運転レポート」をしているかのような丁寧さ。

    3. 週3〜4回の運転で経験を積む道枝駿佑さん 初ドライブ動画に感謝の声

       → ファンの喜びコメントを素直に強調。

    4. 「憧れの先輩を乗せて運転」――道枝駿佑さんの挑戦に称賛のコメント多数

       → SNSのポジティブ意見だけ拾う。

    5. 道枝駿佑さん、車好きな素顔を披露 免許取得1年目のドライブ記録

       → ほぼ業界紙的なタイトル。


まとめ:裁かずに、整える

道枝さんが「車好き」か「彼女持ち」か――その答えを急ぐ必要はない。

必要なのは、断定を見出しに置かない・順序で煽らない・飛躍で物語化しないこと。

記事がその三点を整えれば、読者はもっと自由に考えられる。

— SmokeOut(憶測の“書き方”を、読み方でほどく)

この記事は役に立ちましたか?

記事を読み終えた感想を教えてください

SmokeOut について

火のないところに立つ「煙」を晴らす。私たちは憶測・煽り記事の事実認定ではなく、 伝え方=表現・文脈・論理の運びを可視化するメディア分析プラットフォームです。

関連する分析記事

同じカテゴリの記事や関連する表現分析