なにわ男子・道枝駿佑さんが「よにのちゃんねる」で初めて運転姿を公開。
記事タイトルはこうでした。
『絶対彼女おるやん』道枝駿佑が“初めてのドライブ”公開で疑われた女性の影、3000万閲覧された車中の出来事
SNSの一文をそのまま掲げた見出し。これが、恋の真偽ではなく“燃え方”を加速させました。
何が起きたか
記事本文にはこう書かれています。
《絶対女おるやん》とコメントすると、1日も経たないうちに3000万以上の表示と大きく拡散されたのだ。
確かにインパクトのある数字。しかし同じ本文には、こんな温かい声もありました。
《よにの緩すぎてたまに忘れるけど大先輩2人をなんなら憧れの先輩を乗せてYouTube初運転のみっちー普通に凄すぎる》
ポジティブな反応は流し読み、疑惑は見出し格上げ――。この“広げ方”が問題なのです。
断定1語が“恋人”を作る
冒頭の「『絶対彼女おるやん』」というフレーズ。記事はこれを見出しの主語に据えました。読者は事実よりも「確定演出」として受け止めてしまう。
本来必要なのは「どの投稿がどのくらい拡散したか」の説明。断定を装飾に使わず、出所と範囲を添えること。
それが SPJ Code of Ethics が説く「Accuracy(正確性)」の基本です。
「その一方で…」が生む疑惑ドラマ
本文にはこうあります。
「その一方で……。」
■遠出ドライブは女性の影響? ファンの推察合戦
前段で温かいコメントを紹介した直後に、この小見出し。ポジティブからネガティブへ一気に転調させ、疑惑ドラマを演出します。
順序のバイアス+強調見出し。この構成は Council of Europe Resolution 1003 が注意するセンセーショナリズムの典型です。
横浜=デート? 論理、そこ飛びます
記事はこう記しています。
「多忙な道枝が所属事務所の送迎車に乗るのではなく、自身で週3〜4日も運転していることや、“横浜”“ふ頭”といったデートスポットを連想させる場所を挙げたことから、女性の影が見え隠れする……とリプライ欄で議論が勃発。」
「横浜」「ふ頭」→「デート連想」→「彼女疑惑」。これはnon sequitur(飛躍)そのもの。
車好き、先輩の影響、気分転換――別解はいくらでもあったはず。結論を一足飛びに決めないのが、Ethical Journalism Network の5原則 に沿った書き方です。
疑問符は“匂わせ”の増幅器
小見出しにはこうありました。
「女性の影?」
疑問符つきのタイトルは、断定を避けつつ“不安の香り”だけ残すレトリックです。便利ですが、濫用すると「事実」より「印象」が先行します。
ここでも Resolution 1003 が警告する「ドラマ化の誘惑」に当たります。
ここが読みたい:ドライブ事情の“中身”
実際に盛り上がったのは、《絶対女おるやん》の一文。
でも本来注目すべきは、若手が初ドライブで大先輩を乗せた挑戦や、車好きとしての素顔、週3〜4回の運転頻度に隠れたストーリー。恋バナよりも人となりのほうが、よほど記事の価値になったはずです。
リライト選手権:記事が本気で“伝える”なら
- 元:「『絶対彼女おるやん』道枝駿佑が“初めてのドライブ”公開で疑われた女性の影、3000万閲覧された車中の出来事」
- 道枝駿佑さん、初めての運転を公開 先輩と笑顔のドライブ時間
→ 事実+ポジティブ要素だけ。恋愛も炎上もゼロ。
- 道枝駿佑さん、横浜やふ頭まで安全運転 “車好き”な一面を語る
→ 記者が「安全運転レポート」をしているかのような丁寧さ。
- 週3〜4回の運転で経験を積む道枝駿佑さん 初ドライブ動画に感謝の声
→ ファンの喜びコメントを素直に強調。
- 「憧れの先輩を乗せて運転」――道枝駿佑さんの挑戦に称賛のコメント多数
→ SNSのポジティブ意見だけ拾う。
- 道枝駿佑さん、車好きな素顔を披露 免許取得1年目のドライブ記録
→ ほぼ業界紙的なタイトル。
- 道枝駿佑さん、初めての運転を公開 先輩と笑顔のドライブ時間
まとめ:裁かずに、整える
道枝さんが「車好き」か「彼女持ち」か――その答えを急ぐ必要はない。
必要なのは、断定を見出しに置かない・順序で煽らない・飛躍で物語化しないこと。
記事がその三点を整えれば、読者はもっと自由に考えられる。
— SmokeOut(憶測の“書き方”を、読み方でほどく)