10月25日、今田美桜さんの公式サイトとファンクラブの閉鎖が発表されました。閉鎖は来年3月末です。同じ日、今田さんはファンクラブのブログで、自分の言葉で理由を説明しています。デイリースポーツはその夕方、記事を配信しました。
今田美桜 ファンクラブ閉鎖の理由を説明 移籍や独立などの臆測を完全否定「全くもってそういうことではございません」
見出しを読むと、今田さんが「移籍や独立」を名指しして否定したように見えます。
では、本人は何と書いていたのでしょうか。本文に引かれた本人の言葉と、記事の地の文を、分けて読んでいきます。
「移籍や独立」は誰が書いたのか
本人の否定の言葉と、その前後は、次のように書かれています。
ネット上では事務所移籍や独立、結婚などさまざまな説が流されたが、「なんだか色々な臆測があるみたいですが、全くもってそういうことではございません」と明確に否定した。
かぎかっこの中、つまり本人の言葉は「色々な臆測があるみたいですが」です。「移籍」「独立」「結婚」という言葉は、本人の言葉の中にはありません。それを書いたのは、かぎかっこの外、記事の地の文です。
本人は、臆測の中身を一つも名指ししていません。「そういうこと」とまとめて、否定しただけです。その「そういうこと」の中身を、記事が「事務所移籍や独立、結婚」と埋めています。
見出しはさらに、そこから「移籍や独立」を選んでいます。そして、本人が否定したかのように置いています。本人が言っていない具体的な言葉が、見出しでは本人の否定の対象になっているのです。
数えてみると、「移籍」「独立」「結婚」は、本文にそれぞれ一回ずつ出てきます。三つとも、本人の言葉ではなく記事の地の文です。本人の文章の中には、一度も出てきません。
「ネット上では」の主語はどこにあるか
臆測の出どころとして、記事が書いているのは「ネット上では」の一言だけです。
どのサイトで、どれくらいの人が、どんな説を流したのか。記事には書かれていません。「さまざまな説が流された」という文にも、主語がありません。
これは主語の曖昧化です。主語の曖昧化——誰がそう言ったのかをぼかして、話題だけを残す書き方のことです。
出どころの見えない説を、記事は具体的な言葉で並べています。そのうえで、本人が否定したと伝えています。その結果、臆測を知らなかった読者にも三つの言葉が届きます。「移籍」「独立」「結婚」です。
否定を伝える記事が、否定されたはずの言葉を広げてしまう。これは、記事が話題を立てて、その話題ごと流通させる構造です。本人が「そういうこと」とだけ書いた配慮が、記事の中で外されています。
「完全否定」と「明確に否定」の重さ
見出しは「完全否定」、本文は「明確に否定した」です。言葉としては、強い否定を伝える表現です。
けれど本人の文は、やわらかく始まっています。「なんだか色々な臆測があるみたいですが」です。そのうえで「全くもってそういうことではございません」と続けています。ファンに向けて、丁寧に、穏やかに打ち消した文章です。
その文章が「完全否定」と書かれると、強い調子で反論したような印象に変わります。言葉の温度を上げると、騒ぎがあったように見えてきます。騒ぎを大きく見せているのは、どちらでしょうか。
本人の文章は、ファンネームの「メジ郎のみなさまへ」で始まっていました。ファンに語りかける、身内向けの手紙のような文章です。その手紙を「完全否定」と書くと、まるで記者会見の反論のように見えてしまいます。
本文にある確かなもの——本人の言葉と、理由
ここで公平に書いておきます。この記事の情報源は、本人のブログです。本人の言葉がそのまま引かれていて、確かめやすい記事です。
突然の発表で申し訳ございません。来年の3月でイマノミオを閉じることとなりました
閉鎖の理由も、本人の言葉で示されています。
勝手ではありますが、30歳を前に新しいスタートとして、ファンクラブを終了することを決断しました
記事は最後に、こう添えています。
今田は来年の3月5日に30歳の誕生日を迎える。
この一文は、とても大切です。閉鎖の時期と、30歳の誕生日が重なること。本人が語った「30歳を前に」という理由が、事実で裏づけられています。
今後についても、本人は前向きに語っています。
イベントなどはいいタイミングでできたらなと思ってますので、またそこでお会いしましょうね
本人の説明は、理由も時期も今後も、すでに十分にそろっていました。臆測の中身を書き足さなくても、記事は成り立っていたはずです。
SmokeOut視点:臆測の中身は、書かないという選択
臆測を否定する記事は、難しい書き物です。何を否定したのかを書かないと、話が伝わりにくい。けれど書けば、その臆測を新しい読者に届けてしまいます。
今田さんは、その難しさを自分で引き受けていました。臆測の中身には触れず、「そういうこと」とだけ書いて否定しています。中身を言わないこと自体が、本人の選んだ伝え方です。
記事にできることは、その選び方を尊重することでした。たとえば「さまざまな臆測を否定」と書けば、本人の言葉の範囲にとどまります。見出しに本人の理由「30歳を前に新しいスタート」を置く方法もあったでしょう。
本人が言わなかったことは、記事も言わない。それだけで、否定の記事は本人の配慮をそのまま読者に届けられます。
まとめ:かぎかっこの外の言葉を探す
- ✓ 見出しで否定されたとされる言葉は、本人の文章に出てきますか?
- ✓ 「ネット上では」の説は、誰がどこで流したものですか?
- ✓ 否定を伝える記事が、臆測を広げていませんか?
本人の言葉と理由を丁寧に伝えた記事でした。煙は、本人が書かなかった臆測の中身を、記事が書き足したところから立っています。かぎかっこの内と外を分けて読めば、本人が何を語ったのかがはっきり見えてきます。