大人気企画「学校かくれんぼ」が、海外からも注目を集め、ついに国際映像祭で受賞。番組としては絶好調でした。
……なのに記事は「チョコプラ長田さんのヒント出しすぎ」に焦点を絞り込み、“興ざめ”と断じています。
本当にそれだけが語るべき論点だったのでしょうか?
📰 元記事要約
タイトル:フジ『学校かくれんぼ』、番組人気が絶頂も“進行役”チョコプラ長田に非難集中「興ざめする」
媒体:週刊女性PRIME(2025年8月18日公開)
- 『新しいカギ』の人気企画「学校かくれんぼ」に長田庄平さんが進行役で登場
- 生徒がためらった場面で「ちょっと勇気を出して」などヒントを出した
- ネットには「興ざめ」「わかりやす過ぎる」との声が投稿された
- 記事はこれを「唯一の残念ポイント」と強調して締めた
🧊 絶頂から“残念”へ?
記事は冒頭でこう並べています。
- 史上最多4,300人が参加
- 国際映像祭で銀賞受賞
- 応募総数10万件突破
これだけで「絶頂!」と書ける話。
でも記事はわざわざ逆接を挟みました。
「絶頂も、非難集中」
成功と失敗を並べて落差で読ませる 逆接フレーミング(Concessive Framing) です。
📌 国際基準:IFJ(国際ジャーナリスト連盟)
「ジャーナリストは公正であり、偏向や歪曲を避けなければならない」
👉 成功を“残念”で包み込むのは、公正性を損ないます。
🪜 「非難集中」って誰が?
記事の根拠はSNSコメントわずか2件。
《長田さぁ、わかりやすすぎるヒントを出すのはよくない》
《ヒントじゃなく答えだもんなぁ》
これで「非難集中」と断じるのは 仮想群衆効果(Imaginary Crowd Effect)。
📌 国際基準:SPJ(米国ジャーナリスト協会)
“Identify sources clearly. The public is entitled to as much information as possible…”
👉 2件なら「2件」と書くべきです。件数をぼかすのは不誠実。
🔖 「自爆」「身内泣かせ」というラベリング
記事は長田さんの行動を「身内泣かせ」「自爆」と書きました。
でも実際は、生徒がためらった時に「勇気を出して」と声をかけただけ。
これは ラベリング効果(Labeling Effect)。
言葉をネガティブにすり替えることで印象を誘導しています。
📌 国際基準:UNESCO「ジャーナリストの職業的倫理原則」
“Journalists must avoid prejudicial or pejorative reference to physical or mental characteristics.”
👉 事実を矮小化する「自爆」という表現は、過剰に否定的です。
🔗 UNESCO – International Principles of Professional Ethics in Journalism
🎭 成功を失敗に変える構造
記事の論理はこうです。
A. 国際賞を受賞した成功
B. 視聴者数・応募数の絶頂
C. しかし長田が“ヒントを出しすぎ”
D. 「興ざめ」と結論
これは False Balance(偽の釣り合い)+Framing Bias(枠組み誘導)。
9割の成功を「1割の違和感」で相殺し、記事をネガティブに仕立てています。
📌 国際基準:IFJ倫理綱領
「出来事を歪曲してはならない。誇張や過少評価を避けよ」
🧯 結論:興ざめしたのは番組じゃなく記事
「学校かくれんぼ」が盛り上がったのは事実。
世界から応募が殺到し、国際賞も受賞したのも事実。
じゃあ「興ざめ」したのは?
——SNS2件を「非難集中」に見せかけた、この書き方そのものでしょう。
🪄 タイトル改善案
元タイトル:
フジ『学校かくれんぼ』、番組人気が絶頂も“進行役”チョコプラ長田に非難集中「興ざめする」
改善案:
- 「学校かくれんぼ」国際賞を受賞、参加者4,300人で大成功
- 10万件応募!フジの人気企画が世界に広がる
- チョコプラ長田さん、生徒の背中を押して番組を盛り上げる
🖋️ ——SmokeOut
“火のないところに立つ煙を、読み方でほどくために。”