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芸人
更新: 2025/10/4

「非難集中」?——集中してたのは番組人気のほう

「非難集中」?——集中してたのは番組人気のほう

大人気企画「学校かくれんぼ」が、海外からも注目を集め、ついに国際映像祭で受賞。番組としては絶好調でした。
……なのに記事は「チョコプラ長田さんのヒント出しすぎ」に焦点を絞り込み、“興ざめ”と断じています。
本当にそれだけが語るべき論点だったのでしょうか?

📰 元記事要約

タイトル:フジ『学校かくれんぼ』、番組人気が絶頂も“進行役”チョコプラ長田に非難集中「興ざめする」

媒体:週刊女性PRIME(2025年8月18日公開)

  • 『新しいカギ』の人気企画「学校かくれんぼ」に長田庄平さんが進行役で登場
  • 生徒がためらった場面で「ちょっと勇気を出して」などヒントを出した
  • ネットには「興ざめ」「わかりやす過ぎる」との声が投稿された
  • 記事はこれを「唯一の残念ポイント」と強調して締めた

🧊 絶頂から“残念”へ?

記事は冒頭でこう並べています。

  • 史上最多4,300人が参加
  • 国際映像祭で銀賞受賞
  • 応募総数10万件突破

これだけで「絶頂!」と書ける話。

でも記事はわざわざ逆接を挟みました。

「絶頂も、非難集中」

成功と失敗を並べて落差で読ませる 逆接フレーミング(Concessive Framing) です。

📌 国際基準:IFJ(国際ジャーナリスト連盟)

「ジャーナリストは公正であり、偏向や歪曲を避けなければならない」

👉 成功を“残念”で包み込むのは、公正性を損ないます。

🔗 IFJ Global Charter of Ethics for Journalists


🪜 「非難集中」って誰が?

記事の根拠はSNSコメントわずか2件。

《長田さぁ、わかりやすすぎるヒントを出すのはよくない》

《ヒントじゃなく答えだもんなぁ》

これで「非難集中」と断じるのは 仮想群衆効果(Imaginary Crowd Effect)。

📌 国際基準:SPJ(米国ジャーナリスト協会)

“Identify sources clearly. The public is entitled to as much information as possible…”

👉 2件なら「2件」と書くべきです。件数をぼかすのは不誠実。

🔗 SPJ Code of Ethics


🔖 「自爆」「身内泣かせ」というラベリング

記事は長田さんの行動を「身内泣かせ」「自爆」と書きました。

でも実際は、生徒がためらった時に「勇気を出して」と声をかけただけ。

これは ラベリング効果(Labeling Effect)。

言葉をネガティブにすり替えることで印象を誘導しています。

📌 国際基準:UNESCO「ジャーナリストの職業的倫理原則」

“Journalists must avoid prejudicial or pejorative reference to physical or mental characteristics.”

👉 事実を矮小化する「自爆」という表現は、過剰に否定的です。

🔗 UNESCO – International Principles of Professional Ethics in Journalism


🎭 成功を失敗に変える構造

記事の論理はこうです。

A. 国際賞を受賞した成功

B. 視聴者数・応募数の絶頂

C. しかし長田が“ヒントを出しすぎ”

D. 「興ざめ」と結論

これは False Balance(偽の釣り合い)+Framing Bias(枠組み誘導)。

9割の成功を「1割の違和感」で相殺し、記事をネガティブに仕立てています。

📌 国際基準:IFJ倫理綱領

「出来事を歪曲してはならない。誇張や過少評価を避けよ」

🔗 IFJ Global Charter of Ethics for Journalists


🧯 結論:興ざめしたのは番組じゃなく記事

「学校かくれんぼ」が盛り上がったのは事実。

世界から応募が殺到し、国際賞も受賞したのも事実。

じゃあ「興ざめ」したのは?

——SNS2件を「非難集中」に見せかけた、この書き方そのものでしょう。


🪄 タイトル改善案

元タイトル:

フジ『学校かくれんぼ』、番組人気が絶頂も“進行役”チョコプラ長田に非難集中「興ざめする」

改善案:

  1. 「学校かくれんぼ」国際賞を受賞、参加者4,300人で大成功
  2. 10万件応募!フジの人気企画が世界に広がる
  3. チョコプラ長田さん、生徒の背中を押して番組を盛り上げる

🖋️ ——SmokeOut
“火のないところに立つ煙を、読み方でほどくために。”

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