あのちゃんがテレビで「クーラーつけない」って言ったら、
ネットが“物議”で、専門家が“ヤバい”で、最後には“自己管理ができていない”?
あのちゃん 猛暑でもクーラーつけないアピールにネット物議…“超偏食”発言、体調不良で生放送欠席の過去も
……え、クーラーの話だったのに、
記事の“空気感”の方が よっぽどサムくない?
SmokeOutでは、そんな“書き方そのもの”の寒気の正体を、
国際基準と論理・レトリック技法でしっかりあぶり出します。
🧨 「物議」って、何件から?
記事見出しはこう始まります:
あのちゃん 猛暑でもクーラーつけないアピールにネット物議…
言い切り型の「ネット物議」という表現、よく見かけます。
けれど、出典も件数も具体的な時期も一切示されていません。
これでは“何となく世間が荒れている”という空気感だけを読者に植え付けることになります。
これは、センセーショナリズム(Sensationalism)や仮想群衆効果(Imaginary Crowd Effect)に該当します。
SPJ(米国ジャーナリスト協会)
“Identify sources clearly. The public is entitled to as much information as possible…”
(情報源は明確に。読者は正しい判断材料を得る権利がある)
“物議”って便利ですね。1人でも炎上できる時代の魔法の言葉。
🪜 クーラー→偏食→欠席→プロ意識なし?
記事構成は、驚くほどスムーズにこう繋がっています:
A. クーラーを使わない発言 →
B. 偏食(グミ・ポテチ中心の食生活) →
C. 数日後の体調不良 →
D. “自己管理できていない”という批判の可能性(※記者談)
一見、因果関係があるようにも見えます。
しかしこの構成は、Post hoc誤謬(時間的順序を因果と錯覚させる誤り)と構成的印象操作のダブルリスクです。
論点はこう仕立てられています:
クーラー使わず → お菓子ばっかり食べて → 体調崩して → プロ意識なし?
読者がそう思い込むよう、記事は時系列を“近づけて”配置し、微妙な誘導を加えています。
もう一度確認ですが、冷房の話でしたよね?
🔖 「変わり者らしい」で済ませないで
本文にはこう書かれています:
「変わり者で知られるあのちゃんらしいエピソード」
これは、典型的なステレオタイプ化(Stereotyping)です。
一度「変わり者」というラベルを貼ってしまえば、その人の言動すべてが“変”に見えてしまう。
この構造は、偏見の温床になります。
UDHR(世界人権宣言)第1条
“すべての人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利について平等である。”
「あのちゃんらしい」で全部片付くなら、もう記者いらないのでは?
🧠 「自己管理できていない」って、誰の目線?
記事の結びは、こう締められています:
“プロとして自己管理ができていない”といった批判も受けかねません
これもまた、Essentializing(本質化)と予防線付き人格断定の組み合わせです。
単発の欠席エピソードを、プロ意識の有無という人格評価に結びつけるのは、飛躍が大きすぎます。
読者が「そういう人なんだ」と思ってしまう仕組みは、書き方の中に丁寧に仕込まれています。
🎭 奇跡的なバランス、って何の伏線?
栄養の専門家が「ヤバいかも」と言った直後に、
「奇跡的なバランスになっているとも」
というフォローが入ります。
これにより、読者は極端な“危うさ”と“意外なセーフ感”の間を揺さぶられます。
これは、感情訴求(Emotional Appeal)と対比構造による読者操作の複合技法です。
🧩 その他の技法も満載です
技法名 | 該当箇所 | 問題点 |
---|---|---|
ラベリング | 「超偏食」「変わり者」 | 読者の解釈を固定し、全体を偏らせる |
ストローマン | 発言→健康被害の懸念 | 「真似する人が出るかも」で飛躍した責任転嫁 |
反復強化 | 「偏食」「体調不良」 | 文脈反復で印象を増幅、冷静な判断を妨げる |
🪄 見出し改善案(3案)
元タイトル
あのちゃん 猛暑でもクーラーつけないアピールにネット物議…“超偏食”発言、体調不良で生放送欠席の過去も
改善タイトル
- あのちゃん「クーラーつけない」発言 猛暑のなか語った暮らし方
👉 純粋に発言紹介にとどめる。 - 猛暑でも「クーラーは使わない」あのちゃんのコメント
👉 発言をそのまま提示。 - あのちゃん、夏のエピソードを語る 「クーラーつけない」発言
👉 評価や結びつけを避け、フラットに。
🧯 最後に:冷房よりサムかったのは、書き方でした
あのちゃんの発言には、確かにユニークさも危うさもある。
でも、それを「変わり者」とラベリングし、「物議」の空気を借り、
「プロ失格かも」という人格への疑いまで結びつけるのは——
それ、クーラーの話より、よっぽどサムい構成じゃないですか?
私たちSmokeOutは、「火のないところに立つ煙」を見つめ続けます。
誰かの発言がきっかけで社会がヒートアップする前に。
——SmokeOut
“憶測の書き方”を、読み方でほどくために。