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あのちゃんが語る「誠実さ」――不満じゃなく、ちゃんとしてるだけ。

あのちゃんが語る「誠実さ」――不満じゃなく、ちゃんとしてるだけ。

🎙️ 会話をちゃんと聞くと、ぜんぜん違う

10月3日放送の『永野&くるまのひっかかりニーチェ』(テレビ朝日系)。

記事ではあのちゃんが「芸能界への不満をもらした」と書かれましたが、本当ですか??

実際のやりとりはこうでした。

あのちゃん「大人数で遊んでたりする人が「♪孤独〜」とか歌ってたりすると、なんだコイツって思っちゃう」

永野「全部一貫性持ってやれよって思っちゃう」

あのちゃん「一貫性がないヤツが多すぎる」

永野「ちゃんと言いたいじゃん。今後の人生で孤独じゃなかったりするじゃん。あのちゃんが孤独じゃなかったら孤独じゃなかったってことも言うもんね。“前は孤独だったけど今は違います”って。」

あのちゃん「そう!説得力がないですもん」

(テロップ:「仕事にするなら最初から最後まで貫き通せよ」)

これ、怒ってるというより“職業の流儀”を話してるんです。

言いたかったのは、「変わること」じゃなく「ごまかすこと」への違和感。

要するに、「誠実であれ」=Integrity の話です。


📰 でも記事では“芸能界批判”になっていた

翌日の見出しはこう。

「あのが一貫性のない業界関係者に不満を漏らした」

「芸能界への不満もらす『一貫性がないヤツが多すぎ』『なんだコイツ』」

一気に“業界批判モード”です。

番組では雑談に近いトーンだったのに、

記事では“怒りの独白”に。

この「文脈ジャンプ」は、

UNESCO報道ガイドライン が指摘する「誤情報を生む編集操作」に近い。

たった一文の切り取りで、文脈がごっそりすり替わってしまう。


💬 本人のフォローが教えてくれる“本音”

放送後、あのちゃんはInstagramストーリーでこう補足。

「僕や永野さんが言ってるのは話していることがコロコロ変わる人のことではないです」

「言ってることが変わっていくことは自然なことでそれは僕は肯定派です」

ほら、やっぱり“変化”を責めていない。

むしろ「変わったなら、そのこともちゃんと伝えようよ」という姿勢。

これ、職業人としてすごく健全です。

そして面白いのは、この“誠実さ”の感覚こそ、

IFJ(国際ジャーナリスト連盟)倫理憲章 にも出てくる言葉だということ。

“Integrity and fairness shall govern the journalist’s work.”

(誠実さと公正さが、報道の基礎である)

つまり、あのちゃんが語ったのは“怒り”じゃなく、

プロとして求められる Integrity(誠実さ)のこと。


🧩 誤読の構造をざっくり図解

段階

あのちゃんの意図

切り取り記事の読み替え

意味

言葉と行動の整合性

頑固さ・矛盾嫌い

→「一貫性」の定義にズレ

射程(対象)

特定の行動

芸能界全体

→早計な一般化

トーン

バラエティ

不満・怒り

→感情の誇張

補足

番組内でも「変化は自然」と説明

無視

→文脈の欠落

IPSO(英国編集者コード)

見出しは本文で裏づけられるべき」と定めていますが、

このケースでは“芸能界全体”という射程(対象)が本文の根拠を越えてしまっています。


🌍 報道もまた、Integrityが試されるよね

UNESCO は、

文脈を省く報道は誤情報を生む」と明記し、

UDHR(世界人権宣言)第19条

表現の自由は責任とセット」と示しています。

つまり、

“伝える自由”を守るために必要なのは、

整合性と誠実さ──Integrity。

怒りを煽るより、文脈を守るほうがずっと難しい。

でも、その難しさに挑むことが、メディアとして信頼を積み上げる第一歩です。


🪄 もしこう書いていたら誤解されなかった

❌ 「芸能界への不満『一貫性がないヤツが多すぎ』」

✅ 「あのちゃん、“言葉と行動のズレ”に違和感 『変化は自然』と補足」

見出しが少し変わるだけで、

“怒りのニュース”が“考え方や価値観のニュース”に変わる。

センセーショナルを少し我慢して、

Integrityを守る。

それが、今いちばん必要な報道スキルかもしれません。


🤝 まとめ:誠実でいること

あのちゃんは、「変化を否定した人」ではなく、

「自分の言葉に嘘をつきたくない人」。

誠実に仕事に取り組みたいと思うことって誰にでも覚えがある感情ですよね?

でも、記事がそれを“不満”として書いてしまったことで、

“誠実さ”が“敵意”に見えてくる。

綺麗事かもしれないけれど、もしメディアが“誠実さ”で回るようになったら、

もう少しだけ世界は、信じやすくなる気がします。

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