サマリー
- 元記事は「コラボ相手呼び捨て、言及なし…アイドルグループ2組のSNS告知が波紋 『仲悪いのかな?』『失礼では?』」
- 素材はただ一つ:乃木坂46・FRUITS ZIPPERそれぞれの「FNSコラボ告知&お礼」ポスト。
- 問題はそこから「運営同士、仲悪いのかな?」という人間関係ストーリーまで話を広げている点。
- 呼び捨て/名前の有無は、表記のミスやテンプレの違いなど他の説明もいくらでもあり得る。
- ファンの違和感(敬称の有無へのモヤモヤ)そのものは理解できるが、公式アカウントの一文を使って“もしかして不仲?”と煽る構図には注意が必要。
🔥 見出しが作る「小さな不仲ドラマ」
まず、タイトルの構造から。
コラボ相手呼び捨て、言及なし…
アイドルグループ2組のSNS告知が波紋
「仲悪いのかな?」「失礼では?」
素材はシンプルです。
- 乃木坂46公式:
「中西アルノが小泉遥香(超ときめき宣伝部)と月足天音(FRUITS ZIPPER)と…」
→ 他グループメンバーを敬称なしで表記
- FRUITS ZIPPER公式:
「FNS歌謡祭SPコラボ『年下の男の子』のパフォーマンスには、FRUITS ZIPPERから月足天音が参加させていただきました」
→ 他2人の名前は書かず、自グループ中心の報告
これ自体は、
- 表記の細かさ
- テンプレの違い
- SNSの文字数・告知の目的
などで説明できる、ごく小さな「運営の書き方」の話です。
ところが見出しでは、
- 「呼び捨て」「言及なし」というマイナスに見える要素を並べ
- 「仲悪いのかな?」「失礼では?」というコメントをセットで提示
することで、「運営同士の関係性がギクシャクしているのでは?」というストーリーを読者の頭の中に立ち上げてしまいます。
本人たちの発言でもなく、現場のトラブルでもなく、ただの「公式告知文の表記」を材料に、“人間関係ドラマ”を作っている。
このジャンプの大きさが、今回いちばんのリスクです。
🧵 「敬称ミス」から「運営同士の不仲」へのジャンプ
記事の中で紹介されるのは、こんな声たちです。
「他グループのメンバーの方を敬称なし呼びはまずいでしょ」
「なんか運営同士、仲悪いのかな?てなる」
「流石に失礼では?」
ここで切り分けたいのは、
- マナーとしての違和感(敬称がないのはどうなの?)
- 人間関係への飛躍(運営同士、仲悪いのかな?)
①は十分にあり得る話です。他グループの名前を書くときに「さん」を付けるのが望ましい、という感覚は多くのファンが共有しているでしょう。
問題は②のほう。
- 公式アカウントは、多くの場合「担当スタッフの文章」であり、
- その一投稿が、グループ同士の関係性や“仲の良し悪し”をそのまま反映しているとは限りません。
にもかかわらず記事は、
「仲悪いのかな?」「失礼では?」といった声が寄せられている。
とまとめることで、ごく少数の“想像コメント”を、記事全体のトーンに格上げしてしまっています。
⚠️ そもそも、ただのミスかも
ここで一度、立ち止まって考えたいのは、「そもそもこれ、単純なミスなんじゃないの?」という可能性です。
乃木坂46公式の最初の投稿では敬称なしだったのに、パフォーマンス後の投稿では「さん」付けになっている。
これは、
- 最初の投稿:SNS担当者が急いで投稿してうっかり敬称を忘れた
- 後の投稿:気づいて修正した、または別の担当者が書いた
という、ごく普通の「うっかりミス+修正」のプロセスかもしれません。
FRUITS ZIPPER公式が他メンバーの名前を書かなかったのも、
- 自グループの告知だから自分のメンバーだけ書いた
- 文字数の制限
- 告知テンプレートの違い
といった、運用上の理由がいくらでも考えられます。
つまり、深い意図があるわけでもなく、不仲を示唆しているわけでもなく、ただの「運用上のミス」や「テンプレの違い」という可能性が十分にあるのに、それを「仲悪いのかな?」という人間関係の話に引き上げてしまうのは、やっぱり飛躍しすぎです。
SNS担当者だって人間です。完璧な投稿を毎回できるわけではありません。
「ミスがあったなら改善してほしい」という指摘は健全ですが、「ミスがあった=不仲の証拠」とメディアが一緒に煽るのは、一歩踏み込みすぎだと思います。
🧪 ロジック的に見ると、こういう飛躍が起きている
構造をバラしてみると、こんな感じです。
- 乃木坂公式の告知 → 他グループを敬称なしで表記
- FRUITS ZIPPER公式の告知 → コラボ相手の名前は書かず自グループだけ
- SNS上の一部の声→ 「失礼」「仲悪いのかな?」
- 記事のタイトル→ 「呼び捨て・言及なし」→「仲悪い?」「失礼では?」という“波紋”
1〜2は事実のレベルですが、3〜4には少なくともこの二段階の飛躍があります。
- 「表記ルール/テンプレの話」→「運営の感情」への飛躍
- 「一部のコメント」→「波紋」という大きな雰囲気への一般化
もちろん、「こう感じた人がいる」と紹介するだけなら、ひとつのコラムとして成立します。
ただ今回のように、
- 見出しから「仲悪いのかな?」を前面に出し、
- 本文でも「運営同士の関係性」を匂わせる構成
になってしまうと、“記事がコメントの想像に乗っかってしまっている”状態と言えます。
🪄 本人たちが何も言っていないうちに、物語だけが走る
もうひとつ大事なのは、ここで扱われているのが「タレント本人の発言」ではなく「事務所公式の投稿」だということです。
- 当人たちの不仲エピソードがあったわけでもなく、
- 生放送での明らかな無視やトラブルがあったわけでもなく、
- ただ「運営が書いた一文のスタイル」の話。
それを材料に、
「なんか運営同士仲悪いのかな?」
という読みを“ニュースの種”にしてしまうと、
- アイドル本人たちが知らないところで
- 「不仲かもしれない」という印象だけが一人歩きする
という、不幸な構図が生まれます。
本来ここでフォーカスすべきなのは、
- 敬称をどう扱うかという「表記ルールの問題」
- 告知テンプレをどう改善するかという「運営のオペレーションの話」
であって、人間関係の憶測ドラマではないはずです。
📝 まとめ:「小さな表記ミス」から「不仲ストーリー」を作らないために
この記事が見せてしまっているのは、
- 公式アカウントのほんの数文字の違いから
- 「失礼」「仲悪いのかな?」という関係性ドラマを生み出し
- それを「波紋」としてニュース化してしまう
という構図です。ファンとして、
- 他グループへのリスペクトは大事にしてほしい
- 敬称や名前表記には気を配ってほしい
という感覚は、とても健全です。
一方で、「運営同士が仲悪いのでは?」「メンバー同士の空気も…?」といった想像が、公式SNSの一文だけで“それっぽい物語”としてメディアで拡散されてしまうのは、やっぱり危うい。
表記の改善を求めることと、人間関係に踏み込んだ憶測を広げることは、別問題です。
今回のケースは、
- 「敬称や名前表記の運用を見直した方がいいよね」
- 「でもそれ以上は、勝手にドラマを作りすぎないでおこう」
と線を引き直すべきです。